iPad Pro 11 (第2世代)の電源ボタンが陥没してしまったというご相談を頂きました。
実際の本体を見てみると…
WORKS
これまでに行った修理についてご紹介します。
2021年05月24日
周辺のフレームと同じ高さになっています。
押した感触は辛うじてあるもののこのままではいつ電源ボタンが押せなくなってしまう可能性があります。
電源ボタンが押せなくなると、起動させるのに充電器を挿さなければならなくなったり、画面のオン/オフすらスムーズにできません。
iPadを使用する度に地味にストレスを感じるようになります。
そこで今回はiPad Pro 11 (第2世代)の電源ボタンが陥没してしまった際の修理方法について解説いたします!
iPad Pro 11 (第2世代)電源ボタン修理方法
【使用する工具】
ヒートガン(設定温度250度)
クラフトナイフ(平刃)
プラスドライバー
プラスチック製のヘラ
ピック
UVレジン
ブラックライト
と言っても、iPad Pro 11 (第2世代)を分解するのは非常にリスキーです。
2021年5月24日現在、iPad Pro 11 (第2世代)の画面パーツは5万円を超える超高級品です。
分解の際に割ってしまったり、液晶表示に異常が起こると大きな大きな損失になります。
なので修理を受けていないお店も多いです。
そんな中、郵送修理ポストリペアでは画面交換以外のご依頼をすでに10件以上は頂いております。
内容はフレーム矯正や充電口不良なのですが、全て問題なく修理してお返ししております。
分解するのは赤丸部分です。
なぜここからかというと…
このように粘着が細く、剥がれやすくなっているからです。
では画面を剥がして分解します。
①画面を剥がす
先ほどの赤丸部分に温風を当てます。
当店ではヒートガンの接点温度を250度で約20秒ほど当てています。
画面が温まり粘着が弱まったら…
このようにピックを挿すことが出来ます。
無理に挿すと簡単に割れるので慣れるまではここが正念場です。
クラフトナイフが挿されば隙間が出来るので…
隙間にピックを挟みます。
後は以下の作業を繰り返します。
ピックから少し離れた箇所に温風を当てて…
その部分までピックをスライドさせます。
ただ注意すべき箇所が2点あります。
それが角と内カメラ部分です。
まず角ですが、よく温めて粘着を弱めないといけません。
かといって温め過ぎて液晶が変色しやすい厄介な部分です。
そして内カメラ部分ですが…
ピックをかなり浅く入れないといけません。
というのも…
ガラス側にセンサーが付いており、ピックを深く入れることで損傷してしまうからです。
内カメラ部分はピックを入れる深さを2mmほどに留めます。
要注意なのが上記2点ですが、その他にも…
側面にはこのようにケーブルがあります。
ピックに引っ掛けると簡単に断線します。
なのでとにかくピックを浅く入れる、ということが重要です。
そして粘着を剥がせたら随所にピックなどを挟んでおきます。
これで剥がした箇所の粘着が再びくっついてしまうことを防ぎます。
画面1周の粘着を剥がせたら…
画面を”ゆっくり”と浮かせます。
決して勢いよく持ち上げてはいけません。
というのも…
液晶画面と基板は2本のケーブルで繋がっています。
まずは1本目は本体上部のFaceIDケーブルです。
そして2本目が本体下部の液晶画面のケーブルです。
これらを断線させてはいけないので、画面を浮かせる際はゆっくり優しく、です。
②画面を90度に開く
画面を剥がしただけでは電源ボタンの修理は出来ません。
画面を大きく開く必要があります。
その為には上記のFaceIDケーブルを外す必要があります。
FaceIDケーブルはプレートで本体フレームに固定されています。
赤丸2か所のネジを外します。
ネジの形状はプラスです。
一般的なドライバーで取り外し可能ですが、画面パーツが邪魔で、そう簡単に外せない構造です。
当店では写真のような短いドライバーを使っています。
これで楽々ネジを外すことが出来ます。
ネジを2本外すと…
プレートを取り出すことが出来ます。
プレートを取り出すと…
FaceIDのコネクタが出てきます。
プラスチック製のヘラをコネクタに引っ掛けて持ち上げると…
ケーブルを外すことが出来ます。
これで液晶画面を90度に開くことが出来ました!
③電源ボタンを取り出す
画面を開くことで電源ボタン部分のネジを外せるようになります。
電源ボタンを取り出すのに外すべきネジは全部で8本です。
ネジは全てプラス型が使われています。
プラスネジドライバーを使って…
1本1本外します。
電源ボタンを固定しているネジ2本と…
その下のプレートを押さえたネジ6本です。
場所によってネジの長さは違うのでバラバラにならないよう注意です。
ネジを全て取り出せたら…
銀板を取り出します。
左の側面にツメがついており、本体の一部に引っ掛かるような構造になっています。
プレートを外すとその下に電源ボタンケーブルが収まっています。
どれか分かりにいですが…
この下の方まで延びている黒いケーブルです。
ケーブルを剥がしたら電源ボタンを内部に押し込みます。
ピンセットなどで押し込むことで…
この通り取り出すことが出来ました!
④電源ボタンを加工する
今回電源ボタンが陥没しかかっている原因は電源ボタンの厚みです。
削れたのか凹んだのか、電源ボタンの厚みが足りなくなっているようです。
それにより電源ボタンが押し出されない状態になっていました。
ということはかさ増しすれば陥没を改善させることが出来ます。
とうわけで、当店ではUVレジンを使用します。
レジンを細いドライバーにほんの少量付けて…
電源ボタンに垂らします。
付ける量はほんの数滴です。
付けすぎても少なすぎてもいけません。
レジンを垂らしたらブラックライトで固めます。
レジンにブラックライトを当てて約1分…完全に硬化しました。
横から見ると…
しっかりと分厚くなっているのがお分かり頂けるかと思います。
⑤動作を確認する
加工が終わったら簡単に組み上げて動作確認を行います。
電源ボタンを元の位置に戻しました。
フレームにそっと添えて…
ピンセットなどで奥までしっかりと押し込みます。
電源ボタンを正しい位置にセットしたら電源ボタンケーブルを元通り固定します。
ここで一旦作業を中断して動作確認を行います。
電源ボタンを押してみると…
しっかりとカチカチ音がして押した感触もあります!
そして問題の陥没ですが…
完全に改善しておりました!
何度押してもフレームより数ミリ高くなっています!
⑥本体を組み上げる
先ほど取り出したプレートを元通りにします。
プレートにはツメがありましたね。
まずはツメを付けるためにプレートを斜めにして本体の一部に引っ掛けるように固定します。
次にネジ穴を見ながらプレートをセットします。
正しい位置にセット出来たら…
ネジで固定します。
これで電源ボタン周辺の作業は完了しました。
次にFaceIDのケーブルを付けて固定する作業です。
まずはFaceIDのコネクタを本体基板に接続します。
そしてネジ留めをするのですが、ここで注意点があります。
それが上下でネジの長さが違うということです。
iPadは付けるべきネジの長さが違ったら、最悪の場合は基板に穴が空いて起動しなくなります。
ネジの位置は間違えないよう注意が必要です。
プレートをネジで固定します。
後は画面を本体フレームに接着するのですが、その前に起動チェックを行います。
電源ボタンを長押しして…
しっかりと電源が入ることを確認しました。
電源が入ったら電源ボタンを押して画面のオンオフ、そして長押しで電源を切る画面が出るか確認します。
全て問題なければ…
画面を押してしっかりと接着します。
これでiPad Pro 11 (第2世代)の電源ボタン陥没修理の完了です!
しっかりと押している感触があるのと、通常通りフレームから飛び出してるのがお分かり頂けるかと思います。
今後同じような症状になってしまったとしても、郵送修理ポストリペアなら難なく修理出来ます。
同様の症状でお困りの際はいつでも当店へご相談くださいませ!
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